腹黒王子とめぐるの耽溺日誌
「そう怒ることないだろ?それに、俺と雪平さんはこう見えて結構仲良いんだ。ねえ?」


「えっ!?え、えっと、まぁ……?」


「はぁ??初めて聞いたぜそんなの」


「言うことでも無いからな。だから、今日は雪平さんを借りていくよ」


「いい加減にしろよ、てめー……こっちのが先約なんだから、折れるのはお前の方だろうが」



もっともすぎる言い分だ。

そもそも、なんでこんな強引に事を運ぼうとするんだろう。
今までは私と向坂君が学校で話すって方が珍しかったのに。

苛立ちを隠そうともしない佐原君に向坂君は目を細めると、私に向かって蕩けそうな微笑を向けた。



「なら雪平さんに決めてもらおう。佐原に着いていくか、俺に着いていくか」


「ええっ!?!?」


「上等だ!俺と同じ趣味の雪子なら絶対"Rain"の方が気になるに決まってる!!」


「ちょっ!そんな……!!」



まさかこんな所で私に飛び火するなんて。

正直ゲームショップはかなり気になるし、ここで佐原君に着いていかないなんて選択を取った日にはどんな罵詈雑言を言われるか分かったもんじゃない。

というか、常識的に考えても先に約束していた佐原君に着いていく方が自然だ。
向坂君に至ってはなんで私が必要かっていう理由すら分かってないんだから。


「あの……わ、私は……」


そう。だから答えは実質一つ……の、はず……




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