腹黒王子とめぐるの耽溺日誌


「大丈夫だよ、慎……俺達がそんなことは絶対に許さないから」


「…え、?」


「立花と、その周りの腐った連中……全員地獄に落とすんだ」


「……地獄に、落とす……」


「そう、今まで立花がしてきた全ての事を後悔させてやるんだ。生きてる方が辛いって、そう感じるぐらいの地獄を…俺達であいつに味あわせてやるんだ」



一言一言、丁寧にゆっくりと慎君に語りかける向坂君の姿は、どこか奇妙で不思議と美しくも見えた。

慎君は向坂君の言葉に、キラキラと希望の宿ったような期待の眼差しを向ける。



「本当か、向坂……?俺達で、立花を……遥香をこんな目に合わせた奴等全員、地獄に落とせるのか……?」


「あぁ、落とせるさ。慎が俺に協力してくれればね」


「なにをしたらいい?なぁ、なにをしたら、俺は……」


「それはこれから考えよう。とにかく……慎は俺達に全面協力してくれるって認識でいいかな?」


「あぁ……勿論だ!ありがとう、向坂……っ」



ガバッと向坂君に抱き着く慎君に、少し鬱陶しそうにポンポンと背中を叩く向坂君。

慎君は向坂君の発言に救われたかもしれないけど、向坂君は慎君を救おうなんて微塵も考えてないように見えるんだよなぁ……

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