こじらせ男子の橘くんはワケありでした。
熱した頭が徐々に冷めていく。
自暴自棄になって、周りが見えていなかった。
そんな自分が恥ずかしく思えてきた。
「はははっ、私何してるんだろ。止めてくれてありがとうございます!」
「…なんで、泣きながら笑ってんすか?」
「泣いてないですよっ、全然平気です!」
涙を拭いて必死に明るく振る舞う。
男はそんな私をじっと見つめる。
その顔はなんだか寂しそうで、
軽いため息をついた。