こじらせ男子の橘くんはワケありでした。


「朝陽かわいいし、歳が近くて良い人がすぐ─」


「もういい。さようなら!」


圭吾くんの言葉を遮り立ち上がった私は、

乱暴に言葉を投げつけて店を出た。


どこに行く宛もなく走った。


走りながら涙が目尻伝うのを感じた。


─こんな別れ方したくなかったのに。


─最後くらい笑っていたかったのに。


圭吾くんとの思い出が走馬灯のように

次々に頭に浮かぶ。


< 7 / 63 >

この作品をシェア

pagetop