こじらせ男子の橘くんはワケありでした。


─ああ、ほんとに終わったんだ。


─明日からどうやって生きていけばいいの。


喫茶店が見えなくなるくらい走ったところで

息が切れた。


涙で前がよく見えない。


─もう、どうなったっていいや。


そんなことを思って歩き出した次の瞬間。


「危ないっ!」


そう言う男の声と同時に、

私は誰かに後ろから抱きしめられた。

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