Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
「ちょ、ちょっと……どうして……んっ……!」

 抵抗しようにも両手を押さえつけられ、何も出来ない。その間も貪るような口づけを繰り返され、息も絶え絶えになり、頭が熱くなって体の力が抜けてしまう。

「やめて……! そうやってからかうのは……」
「からかってなんかない。昔からずっとこうしたいと思っていた」
「えっ……」

 昔から? 言っている意味がわからない。最後に会ったのは卒業式。それより前ってこと?

 床に崩れ落ちた体を由利に抱き止められるが、それでもキスは終わらない。

 どうしよう……こんなに体が熱くなるキスなんて知らない--自然と由利の首元へ手が伸び、彼を抱きしめている自分がいた。

 その瞬間体が宙に浮き、ベッドに運ばれてしまう。

 杏奈をベッドに寝かせると、由利は息苦しそうにジャケットとシャツを乱暴に脱ぎ、杏奈の上に覆い被さる。

「だから言ったじゃないか……! 気持ちが暴走したって……なんとか我慢していたのに……」

 本当はこんなことしてはいけないってわかってる。でもまるで火がついたように熱くなった体の衝動は、どうやっても抑えることが出来ない。

「私だってこんなことしに来たわけじゃないのに……」
「俺だって無理矢理するつもりはないよ……だから聞く。君はどうしたい?」
「……金持ちなんか大嫌いなのに……どうせ今だけで、明日になったらポイってするんでしょ……?」
「こんなにも君が欲しくて仕方ないのに、そんなことするわけがない」

 それは事実だろうか。たとえ嘘だとしても、今はこの衝動のままに彼に抱かれてしまいたいと思った。
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