Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
 高臣が体をピタリと密着させてきたから、杏奈のお尻に彼のモノが硬くなって押し付けられていることに気付き、つい恥ずかしくて両手で顔を覆った。

「おはよう。ちゃんと眠れた?」

 杏奈は不服そうに唇を尖らせた。

「……あなたがなかなか寝かせてくれなかったじゃない。それに……どうして朝からそんなに元気なの……」
「それは裸の杏奈が目の前にいるからじゃないかな」

 彼のモノが更に硬くなったような気がして、杏奈は恥ずかしさのあまり高臣に肘鉄をくらわせる。

 しかし高臣はクスクスと笑うだけで何も言わず、しかしゆっくりと手を移動させ、杏奈の足の間へ指を滑り込ませた。

「やだっ、そこはダメ……!」
「ふーん……おかしいな。杏奈だって準備万端みたいだけど」
「そ、それは昨夜の名残りであって……!」

 寝落ちしてしまったためシャワーを浴びておらず、体は彼と重なり合った時のままだった。

「あの……お願いだから離して。そろそろシャワーを浴びたいの」
「それなら一緒に入ろうか」
「……聞いてた? シャワーを浴びたいだけなの」
「せっかく杏奈と繋がれたのに、離れたくないじゃないか」

 どんな顔をしてそんなことを言ってるのかしら--振り返ってみたいが、抱きしめられているため身動きがとれない。

「……ねぇ、あの、本当に意味がわからないの。どうしてそんなに甘い言葉が言えるの……? 相手が私だってちゃんとわかって言ってる?」
「わかっているから何度も名前を囁いているんだろう? なぁ杏奈」

 これが嫌悪感なのか嬉しさなのかがわからない、複雑な感情が入り乱れる。高臣の方を向かないように起き上がった杏奈だったが、突然高臣に抱き上げられてしまった。

「あのっ……一人で行けるから大丈夫」

 そう抵抗してみたが、全く力が及ばない。

「そうしたら本当に一人で入るだろ? そうはさせないよ」

 図星だった。浴室に駆け込んで鍵を閉めるつもりだったのに、見破られてしまったため何も言えなくなる。
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