Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
突然ドアがノックされ、高臣はハッと我に返る。すると中に入ってきた茅島が、不敵な笑みを浮かべて部屋に入ってきた。
「おや、専務、出勤されていたんですね」
茅島は会社の中では高臣に対して必ず敬語を使っており、これは二人なりの公私の分け方だった。
「あぁ、調べると約束したしな」
「ほほぅ……約束というと、碓氷さんと親しくなれたんですか?」
茅島が探りを入れてきていることに気付き、頭の中で言葉を選んでいく。
「一応話はしたよ」
「……専務、昨夜と同じシャツですよ」
「……チェックアウトをしてすぐに出社したからだろ」
「仕事一筋、いつも朝イチでチェックアウトをする専務が、時間ギリギリまで部屋にいて、家に帰って着替えをする間も惜しんで調べ物ですか? へぇ、珍しい」
「……何が言いたい?」
「別に何も……って、あっ、専務のシャツに口紅が--」
慌てて茅島の視線の先に目をやるが、口紅なんてついていなかった。すぐに茅島の罠にハマったのだとわかり、ため息をついた。
「あはは! 付いてるわけないじゃないですか。それにしても、もうそこまでいったんですか。冷然専務も好きな女性の前ではタジタジですね」
"冷然専務"というのは高臣の社内での呼び名だった。無表情、無感情、まるで人に興味がなく見下しているようにすら見えるという意味らしい。
まぁ否定はしないさ--結果を出すまでの過程はもちろん大事だが、高臣は社長と副社長の代理としての仕事も多く担っていた。社員たちとの距離が遠いのは仕方がないことだった。
「彼女のことは仕事とは関係ないだろう。ここに来たということは、あの土地についての報告があるんじゃないのか。早く報告してくれ」
話題を逸らそうと早口になった高臣の態度から、茅島は全てを察して満足そうな笑顔を浮かべる。
「承知しました」
それから持っていたノート型パソコンを開いて机に載せた。
「おや、専務、出勤されていたんですね」
茅島は会社の中では高臣に対して必ず敬語を使っており、これは二人なりの公私の分け方だった。
「あぁ、調べると約束したしな」
「ほほぅ……約束というと、碓氷さんと親しくなれたんですか?」
茅島が探りを入れてきていることに気付き、頭の中で言葉を選んでいく。
「一応話はしたよ」
「……専務、昨夜と同じシャツですよ」
「……チェックアウトをしてすぐに出社したからだろ」
「仕事一筋、いつも朝イチでチェックアウトをする専務が、時間ギリギリまで部屋にいて、家に帰って着替えをする間も惜しんで調べ物ですか? へぇ、珍しい」
「……何が言いたい?」
「別に何も……って、あっ、専務のシャツに口紅が--」
慌てて茅島の視線の先に目をやるが、口紅なんてついていなかった。すぐに茅島の罠にハマったのだとわかり、ため息をついた。
「あはは! 付いてるわけないじゃないですか。それにしても、もうそこまでいったんですか。冷然専務も好きな女性の前ではタジタジですね」
"冷然専務"というのは高臣の社内での呼び名だった。無表情、無感情、まるで人に興味がなく見下しているようにすら見えるという意味らしい。
まぁ否定はしないさ--結果を出すまでの過程はもちろん大事だが、高臣は社長と副社長の代理としての仕事も多く担っていた。社員たちとの距離が遠いのは仕方がないことだった。
「彼女のことは仕事とは関係ないだろう。ここに来たということは、あの土地についての報告があるんじゃないのか。早く報告してくれ」
話題を逸らそうと早口になった高臣の態度から、茅島は全てを察して満足そうな笑顔を浮かべる。
「承知しました」
それから持っていたノート型パソコンを開いて机に載せた。