Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
すると吉村が杏奈に気付いて、急に不敵な笑みを浮かべたものだから、体が思わず強張ってしまう。
「あれーっ? 碓氷さんじゃん。もう帰るのー? 最後だし一緒に遊んでく?」
「あはは! 来るわけないじゃん。吉村ってば適当なことばっかり言ってんなよ」
吉村がそう言うと、大きな笑いが起こる。
「どうせ俺らのことなんて、碓氷さんの記憶には残らないだろうし。"うすい"記憶はあっという間に消えちゃうんだろうな。あーあ、残念」
うすい記憶? あんなの中に怒りが沸々と湧いてくる。
「……何を馬鹿げたことを言ってんのよ……」
「はっ? 何か言った?」
杏奈は足を止めて、吉村をキッと睨みつけた。
「こんなに最悪な三年間を過ごしたのに、忘れられるわけがないじゃない! 私にとってこの学園はもう二度と戻りたくない場所でしかない……! それもこれも全部あなたたちのせいなんだから!」
口からは堰を切ったように言葉が溢れてくる。
「あなたたちはきっとすぐに私のこと薄い記憶の中で忘れるでしょうね。でも私はあなたたちのことを一生覚えていてやるわ。じゃあさようなら」
相手の反応なんて見たくなかった杏奈は、そこからダッシュで校門を飛び出して駅に向かう。
あぁ、とうとう言ってやったわ……なんて清々しい気分なのかしら。もうこれで思い残すことはない。
自分の言葉を吐き出すのに夢中で、相手がどんな表情でいたかなんて思い出せない。でもそれでいい。
高校三年間の思い出は最悪でも、終わりよければ全て良し。杏奈は足取り軽く、未来への一歩を踏み出したのだった。
「あれーっ? 碓氷さんじゃん。もう帰るのー? 最後だし一緒に遊んでく?」
「あはは! 来るわけないじゃん。吉村ってば適当なことばっかり言ってんなよ」
吉村がそう言うと、大きな笑いが起こる。
「どうせ俺らのことなんて、碓氷さんの記憶には残らないだろうし。"うすい"記憶はあっという間に消えちゃうんだろうな。あーあ、残念」
うすい記憶? あんなの中に怒りが沸々と湧いてくる。
「……何を馬鹿げたことを言ってんのよ……」
「はっ? 何か言った?」
杏奈は足を止めて、吉村をキッと睨みつけた。
「こんなに最悪な三年間を過ごしたのに、忘れられるわけがないじゃない! 私にとってこの学園はもう二度と戻りたくない場所でしかない……! それもこれも全部あなたたちのせいなんだから!」
口からは堰を切ったように言葉が溢れてくる。
「あなたたちはきっとすぐに私のこと薄い記憶の中で忘れるでしょうね。でも私はあなたたちのことを一生覚えていてやるわ。じゃあさようなら」
相手の反応なんて見たくなかった杏奈は、そこからダッシュで校門を飛び出して駅に向かう。
あぁ、とうとう言ってやったわ……なんて清々しい気分なのかしら。もうこれで思い残すことはない。
自分の言葉を吐き出すのに夢中で、相手がどんな表情でいたかなんて思い出せない。でもそれでいい。
高校三年間の思い出は最悪でも、終わりよければ全て良し。杏奈は足取り軽く、未来への一歩を踏み出したのだった。