Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
 乱れた呼吸、大きく上下する胸、小刻みに震える体--頭はぼんやりとして何も考えられない。それなのに高臣の指は再び杏奈の敏感な部分を攻め立てようとするから、あまりの快感におかしくなりそうになる。

「だ、だめっ……あっ……んっ!」

 再び果てたが、そろそろもどかしさを感じ始めていた。杏奈は熱に浮かされた瞳で高臣を見つめると、彼の腰に足を巻きつけ、自分の方へ引き寄せる。

 口で言うのは恥ずかしくて、そうするしか思いつかなかったのだ。

「どうしてほしい? 口で言わなきゃわからないよ」
「……わかってるくせに……意地悪言わないで……。こういうのは慣れてないって言ったじゃない……」

 高臣はゴクリと唾を飲み込む。それから杏奈にキスをすると、
「ちょっと待って」
とサイドテーブルに手を伸ばした。

 そこには木製の小さな箱が置いてあり、高臣は蓋を開けると中からコンドームを取り出す。

 何でこんなところにあるんだろう--そう思ったのも束の間、高臣がゆっくりと杏奈の中へと入っていく。既に体は何度も絶頂を迎えていたから、高臣のモノを感じるだけで果てそうになった。

「ヤバいな……すぐにイキそうだ……」
「私も気持ち良い……」

 高臣は動くのをやめて、杏奈の中に身を沈めたまま胸の頂を指先でつまんだり擦ったりしながら、彼女をじっくりと攻めていく。

「杏奈は慣れていないって言ってたけど、俺が初めてなら良かったのにって思うよ」
「……でも大学の時に付き合った人がいただけで、それ以降はずっと一人だったし……」

 杏奈がぼそっと呟くと、高臣は眉間に皺を寄せ、明らかに不愉快そうな顔になる。

「その一人が杏奈の初めてを奪ったのか……」
「で、でも……その人とのセックスって、どちらかというと彼の独りよがりな部分が出てたかなって……」
「気持ち良くなかった?」

 その通りだった。絶頂に達したことはなかったし、もっと言えば大切にされている感覚がなかった。彼の性欲の吐き出し口になっていたような印象すら受けた。

「うん……だからセックスがこんなに気持ちが良いなんて知らなかったの。自分がこんなふうになるなんて知らなかったから、ちょっとびっくりしてる」
「その男より、俺の方が杏奈を気持ち良くしてる?」
「……すごく気持ちいい」

 それを聞いた高臣は、嬉しそうに微笑んだ。

「仕方ない。それならその男を抹殺することは諦めよう」
「抹殺? あなたって意外と物騒なのねぇ」

 そう言った途端、突然高臣の腰が激しく動き始める。唇を塞がれ、彼の指が杏奈の敏感な部分を攻め続けたため、一瞬で果ててベッドに沈み込んだ。
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