Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
「そのことがあったから、一度だけ高校のメンバーとの集まりに参加したんだが、あいつの口からは何の情報も得られなかったよ」
「じゃあそれ以降は会ってないの?」
「あぁ、会ってない」
「そう……」

 高臣は自分の膝をポンポンと叩き、杏奈にそこに座るよう促す。

「きょ、今日はもうしないからね……」
「わかってるって」

 筋肉痛のような痛みを堪えながらゆっくりと起き上がると、高臣の腕に抱えられて膝の上に座らせられた。

「吉村くんには会いたくないの……やっぱり私たちを馬鹿にした張本人だったし」

 それに今の話を聞いて、嫌な予感が胸を掠める。もし両親の土地に彼が関わっていたとしたら--考えるだけでぞっとする。

「わかってる。もう会うことはないよ」
「……正直に言えばあなたにも会いたくなかったわけだけど……今は……その……一応恋人だし……それに高臣と付き合ってることを知られたら、あなたにまで何かあったら大変だと思うの……んっ!」

 彼の手が杏奈の頭を引き寄せ、貪るようなキスが繰り返される。砦を越えて侵入してきた舌が熱く絡み合い、息が出来ないほどだった。

 唇が離れると、高臣は顔を上気させ、乱れた呼吸のまま杏奈を抱きしめる。

「杏奈は可愛いことを言いすぎるよ……杏奈も辛いだろうから今日はしないって決めていたのに……どうしてくれるんだい?」

 高臣は再び精気を取り戻した下半身に、杏奈の手を導いていく。まるで一回目と同じくらいに屹立したモノに触れ、杏奈は恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めた。

「し、知らないわよ! 勝手に元気になってるだけじゃない」
「だ、大丈夫だ。後でちゃんと処理するから気にしなくていい」

 安心させようと必死に我慢しようとする姿を見て、杏奈は高臣が可愛く見えて、思わず吹き出してしまう。

 あの由利高臣がこんなことを言うなんて、ギャップに胸がキュンと熱くなる。

 杏奈は高臣の首に腕を回してキスをすると、恥ずかしそうに俯いた。

「こ、これで終わりにしてね……」
「ありがとう、杏奈……」

 これからもこういうことがあったりするのかしら--どうも高臣の前だと甘くなってしまう自分がいる。

 明日……いや、今日は仕事なんだけどな……だけど彼を受け入れた瞬間、幸せに包まれ先ほどの嫌な予感も消えていくようだった。
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