Ring a bell〜冷然専務の裏の顔は独占欲強めな極甘系〜
「ところで近いうちに碓氷さんと会う予定はありますか?」
軽い気持ちで尋ねたら茅島だったが、急に空気が凍りつき、ブルブルッと体を震わせた。
「……何故それを茅島に話さないといけないんだ?」
「いえいえ、言ってくだされば会食の予定などずらせますからね。で、どうなんですか?」
「……彼女は仕事が忙しいみたいなんだ。とりあえず今は会うのは週末だけでいいらしい」
「おや、それは寂しいですね。専務は毎日でも会いたいでしょうから」
茅島がそう言うと、高臣の冷たい視線に睨みつけられ体が凍りつく。
「彼女を縛りつけるわけにはいかないからな。しばらくはこのまま様子を見るが、もう少ししたら同棲も視野に入れている」
「……早過ぎません? しかもノースタウンに住むのはちょっと……」
高臣は驚いたように目を見開いた。
「何故だ」
「碓氷さんは普通のお嬢さんですからね。あまり独りよがりだと、専務のスピードについていけなくて離れてしまうかもしれませんよ。一つ一つ確認を忘れないようにしてくださいね」
「わ、わかった」
茅島の言葉が想定外だったようで、困惑したように視線をキョロキョロと動かす。それを見て茅島は思い切り吹き出した。
「あはは! もう遅かったか!」
「ち、違う! というか、ここは社内だぞ!」
「はいはい、そんなに余裕のない専務、初めて見ましたよ。相当骨抜きにされちゃったみたいですね」
骨抜きにされたのは決して今ではなく、あの保健室にいる時なのだと思う。今まで高臣の周りにいた女子と、杏奈はかけ離れていたから。
ようやく話してみたら、彼女は高臣相手でも臆せず自分の意見をきちんと伝えてきたし、何より言葉のやり取りが面白い。
あの頃ずっと杏奈と話してみたいと思っていたが、想像していた以上のものが返ってきて、高臣は楽しくて舞い上がりそうだった。
「……突っ走り過ぎないよう気をつけるさ」
「健闘を祈ります。それにしたって、碓氷さんに向ける優しさの一割でも社員にむけてくれたら、みんな仕事がやりやすくなるのになぁ」
「そんなあり得ない話をするくらいなら、俺が優しくなれるくらいの仕事をしてきてほしいものだな」
「はいはい、あー怖い怖い」
茅島が部屋を出てドアかが閉まると、高臣は小さく息を吐いた。
杏奈に吉村のことを話すべきか悩んだが、彼女のことだから、口にしなくても気づかれてしまうような気がした。
そうなったら話すしかないだろうな--。
とはいえ、まずは第一の目標である『愛してる』を彼女の口から聞き出すことが先決だ。後のことはそれから考えればいい。
高臣は頭を横に振り、頭を仕事モードに切り替えた。
軽い気持ちで尋ねたら茅島だったが、急に空気が凍りつき、ブルブルッと体を震わせた。
「……何故それを茅島に話さないといけないんだ?」
「いえいえ、言ってくだされば会食の予定などずらせますからね。で、どうなんですか?」
「……彼女は仕事が忙しいみたいなんだ。とりあえず今は会うのは週末だけでいいらしい」
「おや、それは寂しいですね。専務は毎日でも会いたいでしょうから」
茅島がそう言うと、高臣の冷たい視線に睨みつけられ体が凍りつく。
「彼女を縛りつけるわけにはいかないからな。しばらくはこのまま様子を見るが、もう少ししたら同棲も視野に入れている」
「……早過ぎません? しかもノースタウンに住むのはちょっと……」
高臣は驚いたように目を見開いた。
「何故だ」
「碓氷さんは普通のお嬢さんですからね。あまり独りよがりだと、専務のスピードについていけなくて離れてしまうかもしれませんよ。一つ一つ確認を忘れないようにしてくださいね」
「わ、わかった」
茅島の言葉が想定外だったようで、困惑したように視線をキョロキョロと動かす。それを見て茅島は思い切り吹き出した。
「あはは! もう遅かったか!」
「ち、違う! というか、ここは社内だぞ!」
「はいはい、そんなに余裕のない専務、初めて見ましたよ。相当骨抜きにされちゃったみたいですね」
骨抜きにされたのは決して今ではなく、あの保健室にいる時なのだと思う。今まで高臣の周りにいた女子と、杏奈はかけ離れていたから。
ようやく話してみたら、彼女は高臣相手でも臆せず自分の意見をきちんと伝えてきたし、何より言葉のやり取りが面白い。
あの頃ずっと杏奈と話してみたいと思っていたが、想像していた以上のものが返ってきて、高臣は楽しくて舞い上がりそうだった。
「……突っ走り過ぎないよう気をつけるさ」
「健闘を祈ります。それにしたって、碓氷さんに向ける優しさの一割でも社員にむけてくれたら、みんな仕事がやりやすくなるのになぁ」
「そんなあり得ない話をするくらいなら、俺が優しくなれるくらいの仕事をしてきてほしいものだな」
「はいはい、あー怖い怖い」
茅島が部屋を出てドアかが閉まると、高臣は小さく息を吐いた。
杏奈に吉村のことを話すべきか悩んだが、彼女のことだから、口にしなくても気づかれてしまうような気がした。
そうなったら話すしかないだろうな--。
とはいえ、まずは第一の目標である『愛してる』を彼女の口から聞き出すことが先決だ。後のことはそれから考えればいい。
高臣は頭を横に振り、頭を仕事モードに切り替えた。