心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
アメリカ行きについては、駿介から直接聞いたわけではなかった。
先月総合病院を訪れ、診察後に院内のカフェで食事をしていると、病院のスタッフらしき二人連れが隣に座った。この時、二人の会話を聞いてしまったのだ。
―朝比奈先生、夏にアメリカの病院に移るんだって
―あちこちから声がかかってたみたいだけど、ついに決めたんだ。残念。
―あれだけすごいオペをするんだもん、どの病院も欲しいにきまってる。しかも先生イケメンだし
―朝比奈先生がいなくなったら目の保養ができなくて残念
―え、そっちの残念?なら、先生フリーみたいだから、ここを出ちゃう前に誘ってみたら?
看護師二人組は、そう言い合ってフフフと笑った。