心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
「それはそうだな…じゃあ、今日は大人しく家にいろよ。また明日の朝、電話する」

「はい」

仕事で病院に行くのに一緒に行こうだなんて…駿介はまるで紗知子を自分の所有物のように思っている節がある。

友達付き合いやネットで知り合った人の話を聞く時も、いい顔をしてくれない。クリニックへ行っても、定期的な検査で総合病院に行っても、面と向かうのは駿介だけ。

かかりつけ医にしては、ちょっと拘束がきつい。

なのに、悪い気がしないから不思議だ。それもこれも、幼い時からお互いを知っているからなのか、と紗知子は思った。



翌朝の早朝。いつものように駿介から電話がかかって来た。

地元に帰って来てからというもの、駿介は勤務時間中でない限りは必ず朝、電話で紗知子をたたき起こす。

もともと朝に弱い紗知子にとってはありがたいことで、今は駿介のモーニングコールを目覚まし時計代わりにしているほどだ。

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