心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網

昼前。花壇の土を掘り返していると、遼が門扉から顔をのぞかせた。

シンプルな白いカットソーの上に、黒いロングコートを羽織った遼は、両手で大きな包み紙を抱いていた。

「あ、さっそく庭の手入れしてるんだ」

「遼さん、昨日はありがとうございました」

手袋の土をパタパタ払いながら立ち上がる。

「絵、持ってきたよ。プレゼント」

遼は大きな紙包みを胸元に引き上げた。

絵描きさんが自身の作品を持参してくれたというのに、門前払いはさすがに気がひけた。庭に面したリビングに案内し、隣室のキッチンでハーブティーを淹れた。

遼はしばらく室内をきょろきょろ見回していたが、ダイニングテーブルに移動すると包みを置いて中を開いた。

一面クローバーが咲く野原の絵が現れた。リビングのローテーブルに、お茶とお菓子を並べ終えた紗知子は、手を止めて見上げた。
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