心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
肌が触れ合う距離になっても駿介は顔色一つ変えない。当たり前だ。彼が全神経を注ぎ込んでいるのは、紗知子に対してではない。時折へこたれて鼓動を弱める、紗知子の病弱な心臓に対してなのだから。
朝比奈駿介は、川相紗知子の担当医だ。そして、二歳年上の幼馴染でもある。
中学進学と同時に家族の転勤で東京へ引っ越し、医師になってまた地元へと戻ってきた。
子どもの頃から心臓に持病を持つ紗知子は、ずっと生家に住み続けている。二十五歳になった今も病院のケアを欠かすことができない。
完治する手術の方法が、ないわけではない。しかし成功率が極度に低く、失敗すれば命を落とす難しい手術だ。大きなリスクを背負うより、投薬で症状を抑えることを選んだ。
二年前、二十三歳の時に突然父を亡くし、唯一の肉親を失ったショックから体調が不安定になった。
それまで持病と付き合いながら、なんとか続けていた仕事も、それを機に辞めた。
朝比奈駿介は、川相紗知子の担当医だ。そして、二歳年上の幼馴染でもある。
中学進学と同時に家族の転勤で東京へ引っ越し、医師になってまた地元へと戻ってきた。
子どもの頃から心臓に持病を持つ紗知子は、ずっと生家に住み続けている。二十五歳になった今も病院のケアを欠かすことができない。
完治する手術の方法が、ないわけではない。しかし成功率が極度に低く、失敗すれば命を落とす難しい手術だ。大きなリスクを背負うより、投薬で症状を抑えることを選んだ。
二年前、二十三歳の時に突然父を亡くし、唯一の肉親を失ったショックから体調が不安定になった。
それまで持病と付き合いながら、なんとか続けていた仕事も、それを機に辞めた。