心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
駿介が、背後から遼の体を掴んで持ち上げたのだ。

遼の両腕は背後で押さえられ、肩をゆすって抵抗するも、振りほどくことができないようだった。

「紗知子、遅くなってごめん。もう大丈夫」

駿介は言いながら遼を床にうつ伏せに押し付け、遼が腰元に下げていた粘着テープで手足を拘束していく。

「なんでお前がいるんだよ」

遼は頬を床にこすりつけながら横目で駿介を睨んだ。

「だまれ、俺以外の男に紗知子は触れさせない」

「臭いセリフ」

遼が鼻で笑った。

「おまえ、紗知子の動画を見て狙いを付けたんだな」

「個人情報ダダ洩れの動画だったからな」

スマホで警察を呼んだあとも、駿介は遼にまたがって体を押さえつけた。遼は懲りずに悪態をつき続けている。

「ちょろい女だと思ったのにな…紗知子ちゃん、おたくの担当医さんの執着にはびっくりだよ。いっつもあんたの近くをうろちょろして…」
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