心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
紗知子はソファにうずくまって震えていたが、遼の言葉を聞くと、わなわなと膝を震わせてゆっくり立ち上がった。

「そんな言い方しないで。駿ちゃんに謝って」

紗知子はすごんだ。これまでにない剣幕で遼を睨む紗知子を見て、発作を起こしやしないかと駿介は慌てた。

「紗知子、じっとしてろ」

駿介が制したが紗知子は訊かない。

遼を見下ろしてじりじり近づき、強い声で言った。

「執着じゃない。優しさよ。優しいフリしかできない嘘つきに、駿ちゃんの本当の優しさはわからない。二度と私たちに関わらないで」

遼は舌打ちをして紗知子から視線を外した。そのままじっと、黙りこくった。


警察が遼を連れて出た後、紗知子と駿介は窃盗現場である紗知子の自宅で警官から聞き取りを受けた。すべてを終えた頃には、明け方になっていた。
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