心臓外科医になって帰ってきた幼馴染の甘くて熱い包囲網
診察室に入ると駿介はスツールに座り、紗知子を診察台に座らせた。

「週二回、ここで勤務することになった。紗知子の家の近所のクリニックにも、週三回勤務する」

パソコンで紗知子のデータを呼び出し、画面を睨んだりキーを打ち込んだりしながら駿介は言った。

「東京の病院は?」

紗知子が訊く。

「退職した。これからは、定期的な検査の時以外は、俺のいるクリニックに通えばいい」

「どっちの病院でも駿ちゃんが診てくれるってこと?」

「そうだよ。だって他の医者に診せるわけにはいかないし」

「…わざわざ東京の大病院から戻って診てくれるなんて…私の病状、ひどくなってるの?」
紗知子は慌てた。駿介は微笑んで首を横に振った。

「診たところ、大きな問題はない。ただ、紗知子の心臓は、必ず俺が治すって決めてるから」

駿介は言って、紗知子をじっと見つめた。深く輝く瞳が、紗知子の双眸を捕らえた。
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