ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~
「それではラウレル様、休みの日を設けてはいかがですか?」
「休み?」
「そうです、何日でもかまいません。丸々一日、きっちり休む日を決めるんです。そして皆に伝えれば、その日は丸々身体を休めることができますよね」
ビオレッタが休みを提案すると、ラウレルはあごに手を当ててなにやら考え込んでいた。
「でも、ビオレッタさんも休んでないですよね?」
「え?」
「毎日、道具屋開けてるじゃないですか」
確かに、ビオレッタは毎日道具屋に立っている。
だって、それがビオレッタにとって当たり前であったから。
「私はラウレル様みたいに疲れることはないんです……お客さんも少ないですし、ただ道具屋の番をしているだけですから」
「それも仕事ですよね。ずっと道具屋に拘束されているわけですから、ビオレッタさんにも自由が必要だと思います」
「自由?」
そんなもの、考えたことがなかった。ビオレッタは道具屋の娘として生まれ、道具屋のために生きてきた。店を開けて一日が始まり、店を閉めて一日を終える。そこからはみ出る過ごし方をしたことが無かったのだ。
「ビオレッタさんも、前もって休日を道具屋の扉に張り紙を出しておけばいいんですよ。ね?」
「でも、それだとお客さんが困りませんか」
「村の人達は皆いい人です。すこしくらい休んだって大丈夫ですよ」
そう言われてみれば、確かに大丈夫な気もする。ビオレッタの道具屋が一日休んだところで、グリシナ村には何も変わらぬ時間が流れるだけだろう。モンスターもいなくなった今、傷薬を買いにやってくる客も激減したことだし……
ただ、一歩踏み出せないのは、怖いからだった。ビオレッタが今まで築き上げてきた生活が変わってしまうことが。
彼女が躊躇している様子を見て、ラウレルは良いことを思いついたように口を開いた。
「休み?」
「そうです、何日でもかまいません。丸々一日、きっちり休む日を決めるんです。そして皆に伝えれば、その日は丸々身体を休めることができますよね」
ビオレッタが休みを提案すると、ラウレルはあごに手を当ててなにやら考え込んでいた。
「でも、ビオレッタさんも休んでないですよね?」
「え?」
「毎日、道具屋開けてるじゃないですか」
確かに、ビオレッタは毎日道具屋に立っている。
だって、それがビオレッタにとって当たり前であったから。
「私はラウレル様みたいに疲れることはないんです……お客さんも少ないですし、ただ道具屋の番をしているだけですから」
「それも仕事ですよね。ずっと道具屋に拘束されているわけですから、ビオレッタさんにも自由が必要だと思います」
「自由?」
そんなもの、考えたことがなかった。ビオレッタは道具屋の娘として生まれ、道具屋のために生きてきた。店を開けて一日が始まり、店を閉めて一日を終える。そこからはみ出る過ごし方をしたことが無かったのだ。
「ビオレッタさんも、前もって休日を道具屋の扉に張り紙を出しておけばいいんですよ。ね?」
「でも、それだとお客さんが困りませんか」
「村の人達は皆いい人です。すこしくらい休んだって大丈夫ですよ」
そう言われてみれば、確かに大丈夫な気もする。ビオレッタの道具屋が一日休んだところで、グリシナ村には何も変わらぬ時間が流れるだけだろう。モンスターもいなくなった今、傷薬を買いにやってくる客も激減したことだし……
ただ、一歩踏み出せないのは、怖いからだった。ビオレッタが今まで築き上げてきた生活が変わってしまうことが。
彼女が躊躇している様子を見て、ラウレルは良いことを思いついたように口を開いた。