ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~
予知夢
眩い眩い光がおさまり、ふわりとグリシナ村の入り口に降り立つ。
見慣れた景色に、村の匂い。
クエバの町から転移魔法で戻ってきた二人は、道具屋への道をゆっくりと歩いた。
「ラウレル様、クエバへ連れていって下さってありがとうございました。リヴェーラの石が指輪になるなんて、とても楽しみです」
「そうですね……」
リヴェーラの石を加工するなんて、ラウレルがいなければ実現し得なかったことだ。
ビオレッタは礼を言ったのだが、ラウレルはどこかうわの空だった。どうしたというのだろう。
「ラウレル様? もしかして、お疲れですか?」
「いえ、そういうわけでは……」
ラウレルはビオレッタを振り返ることなく舗装のない田舎道をじゃりじゃりと歩く。いつも話す時は目を合わせて微笑む彼が。
(ラウレル様……?)
やはり様子がおかしい。本人が気づかぬうちに疲れているのかもしれない。そういうことも大いにあり得る。
「ラウレル様! 早く帰って休みましょう!」
「えっ?」
ビオレッタは冴えない顔をしたラウレルの手を取り、強引に道具屋へと引っ張った。
考えてみれば、彼は疲れていて当然だ。
彼はいつも、グリシナ村の頼まれごとを引き受けている。その多くが体力仕事であって、休みとして設定した日さえ、転移魔法を使ってあちこち連れていってくれているのだ。
つまり休む暇が無い。ビオレッタに気を遣って、無理しているに決まっている。
「ちょ……ちょっと、ビオレッタさん?」
道具屋の扉を開けて、ビオレッタは戸惑うラウレルをぐいぐいと押し込んだ。
そのまま彼の背中を押し続け、階段も押し続け、廊下も押し続け……二階にある彼の部屋へと連れていくことに成功した。
見慣れた景色に、村の匂い。
クエバの町から転移魔法で戻ってきた二人は、道具屋への道をゆっくりと歩いた。
「ラウレル様、クエバへ連れていって下さってありがとうございました。リヴェーラの石が指輪になるなんて、とても楽しみです」
「そうですね……」
リヴェーラの石を加工するなんて、ラウレルがいなければ実現し得なかったことだ。
ビオレッタは礼を言ったのだが、ラウレルはどこかうわの空だった。どうしたというのだろう。
「ラウレル様? もしかして、お疲れですか?」
「いえ、そういうわけでは……」
ラウレルはビオレッタを振り返ることなく舗装のない田舎道をじゃりじゃりと歩く。いつも話す時は目を合わせて微笑む彼が。
(ラウレル様……?)
やはり様子がおかしい。本人が気づかぬうちに疲れているのかもしれない。そういうことも大いにあり得る。
「ラウレル様! 早く帰って休みましょう!」
「えっ?」
ビオレッタは冴えない顔をしたラウレルの手を取り、強引に道具屋へと引っ張った。
考えてみれば、彼は疲れていて当然だ。
彼はいつも、グリシナ村の頼まれごとを引き受けている。その多くが体力仕事であって、休みとして設定した日さえ、転移魔法を使ってあちこち連れていってくれているのだ。
つまり休む暇が無い。ビオレッタに気を遣って、無理しているに決まっている。
「ちょ……ちょっと、ビオレッタさん?」
道具屋の扉を開けて、ビオレッタは戸惑うラウレルをぐいぐいと押し込んだ。
そのまま彼の背中を押し続け、階段も押し続け、廊下も押し続け……二階にある彼の部屋へと連れていくことに成功した。