ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~
(そうだ……姫なら、私の話を聞いてくれるかも)
「コラール姫。おそらくもうすぐ……ラウレル様がオルテンシアまで助けに来てしまいます」
「よかったわ! 助けに来てくれるのね?」
コラール姫は、ぱっと顔を明るくして喜んだ。
そうなのだ。普通ならその反応だ。
ただラウレルは普通では無い。
脅威的な速さで魔王を倒した、最強の勇者だ。
「すごく、王に対して怒ってると思うんです……」
「当たり前だわ? 愛する人を拐われたんですもの」
「その、ラウレル様は怒りが、尋常ではなくて……姫だけでも逃げませんと」
「え? ……きゃあ!」
時間が刻々と過ぎていく中。
ついに地上から、地響きとともに稲妻の落ちるような爆音が轟いた。
「な、何事ですの?」
「遅かったわ……」
先程の爆音を皮切りに、何度も爆発音が何度も繰り返される。ガラガラと城が崩れる音は、地下にいるビオレッタ達にもはっきりと聞こえた。
コラール姫はがたがたと震えだしてしまった。
このオルテンシア城が何者かに攻撃されている。
おそらく……怒り狂ったラウレルに。
「コラール姫は、どうか私と共にいて下さい。きっとそれが一番安全なので……」
ビオレッタは震えるコラール姫を抱きしめた。
地上を駆け回る兵士の悲鳴が聞こえる。鳴り止まぬ爆音。屋根が崩れる音。竜の羽音。
ここまでとは想像も出来なかった。ビオレッタは、実際にラウレルが戦っている姿を見たことが無かったのだから。
ああ、オルテンシアがビオレッタをさらったりしなければこんなことにはならなかったのに。
彼の目的はビオレッタを救い出すことだ。これ以上の被害を食い止めるためにも、姿を見せたほうが良いだろうか。
ビオレッタが立ち上がると、コラール姫が彼女を引き止めた。
「駄目よ、地上は危険だわ」
「でも、ラウレル様は私を探しています。私が見つからない限り攻撃は止みません」
「……では、これは勇者様が……?」
コラール姫は顔を青くした。
オルテンシア城は、モンスターに攻撃されたことはあってもびくともしなかった堅牢な城。それを真正面から破壊する勇者ラウレルに、姫は言葉を無くしてしまった。
「大丈夫です。言葉が届くことを信じます」
「あなた……どうか、気をつけて」
ビオレッタは深く頷くと、コラール姫の元から駆け出した。
「コラール姫。おそらくもうすぐ……ラウレル様がオルテンシアまで助けに来てしまいます」
「よかったわ! 助けに来てくれるのね?」
コラール姫は、ぱっと顔を明るくして喜んだ。
そうなのだ。普通ならその反応だ。
ただラウレルは普通では無い。
脅威的な速さで魔王を倒した、最強の勇者だ。
「すごく、王に対して怒ってると思うんです……」
「当たり前だわ? 愛する人を拐われたんですもの」
「その、ラウレル様は怒りが、尋常ではなくて……姫だけでも逃げませんと」
「え? ……きゃあ!」
時間が刻々と過ぎていく中。
ついに地上から、地響きとともに稲妻の落ちるような爆音が轟いた。
「な、何事ですの?」
「遅かったわ……」
先程の爆音を皮切りに、何度も爆発音が何度も繰り返される。ガラガラと城が崩れる音は、地下にいるビオレッタ達にもはっきりと聞こえた。
コラール姫はがたがたと震えだしてしまった。
このオルテンシア城が何者かに攻撃されている。
おそらく……怒り狂ったラウレルに。
「コラール姫は、どうか私と共にいて下さい。きっとそれが一番安全なので……」
ビオレッタは震えるコラール姫を抱きしめた。
地上を駆け回る兵士の悲鳴が聞こえる。鳴り止まぬ爆音。屋根が崩れる音。竜の羽音。
ここまでとは想像も出来なかった。ビオレッタは、実際にラウレルが戦っている姿を見たことが無かったのだから。
ああ、オルテンシアがビオレッタをさらったりしなければこんなことにはならなかったのに。
彼の目的はビオレッタを救い出すことだ。これ以上の被害を食い止めるためにも、姿を見せたほうが良いだろうか。
ビオレッタが立ち上がると、コラール姫が彼女を引き止めた。
「駄目よ、地上は危険だわ」
「でも、ラウレル様は私を探しています。私が見つからない限り攻撃は止みません」
「……では、これは勇者様が……?」
コラール姫は顔を青くした。
オルテンシア城は、モンスターに攻撃されたことはあってもびくともしなかった堅牢な城。それを真正面から破壊する勇者ラウレルに、姫は言葉を無くしてしまった。
「大丈夫です。言葉が届くことを信じます」
「あなた……どうか、気をつけて」
ビオレッタは深く頷くと、コラール姫の元から駆け出した。