ただの道具屋の娘ですが、世界を救った勇者様と同居生活を始めます。~予知夢のお告げにより、勇者様から溺愛されています~
地下牢からの階段を駆け抜け、玄関ホールへと出ると……そこは瓦礫の山となっていた。
つややかであった大理石の床は砂埃にまみれており、そこかしこが焼け焦げ、煙が立ち上っている。
抜け落ちた屋根から空を見上げれば、上空を何匹もの竜が舞っていた。竜達は遠慮なく火を吐き、城を炎で包み込む。
「プルガだけでなく他の竜まで……」
「皆、ラウレルに味方しているのだ」
変わり果てた光景に呆然と立ち尽くしていると、目の前に背の高い男が現れた。
さらさらとした銀色の髪は足元まで長く、褐色の肌に、ガラス玉のような金色の瞳。
初めて会ったはずなのに、その不思議な雰囲気には触れたことがあったような――
「あなたは……?」
「ラウレルの女。このままではラウレルが王を殺してしまうぞ」
男の声は、妙に落ち着きがあった。
いや、それよりも。
ラウレルが王を殺す。そんなまさか、そこまで……
「ラウレルが人殺しになってしまうぞ。娘、そのような場所でじっとしていてよいのか」
「どういうことですか! ラウレル様は一体どこに……」
「王は塔へ逃げた。ラウレルはそれを追っているはず」
ビオレッタは、屋根に空いた穴から空を見上げた。
空には飛び交う竜と立ちのぼる煙が見える。その先に、王が逃げたと思われる塔を見つけた。
しかしずいぶんと遠く、そして高い。
「あんな場所、どうやって――」
「さあ乗れ、女」
銀髪の男は目の前で白く発光したと思うと、みるみるうちに銀色の竜へと変身した。
その瞳は、透き通った金色。
「あなたは……プルガだったのね……」
乗れと促すように、プルガは大きく咆哮した。
竜に一人で乗るなど、自分に出来るだろうか。でも今は乗るしかない。
ビオレッタは震えつつプルガの背中に跨がると、プルガは彼女を振り落とさぬよう、慎重に羽ばたいた。
(気を遣ってくれているのね……)
「ありがとう、プルガ」
返事をするような鳴き声が、瓦礫だらけの玄関ホールに響く。
プルガはゆっくりと上昇し、抜け落ちた屋根から塔へと飛び立った。
つややかであった大理石の床は砂埃にまみれており、そこかしこが焼け焦げ、煙が立ち上っている。
抜け落ちた屋根から空を見上げれば、上空を何匹もの竜が舞っていた。竜達は遠慮なく火を吐き、城を炎で包み込む。
「プルガだけでなく他の竜まで……」
「皆、ラウレルに味方しているのだ」
変わり果てた光景に呆然と立ち尽くしていると、目の前に背の高い男が現れた。
さらさらとした銀色の髪は足元まで長く、褐色の肌に、ガラス玉のような金色の瞳。
初めて会ったはずなのに、その不思議な雰囲気には触れたことがあったような――
「あなたは……?」
「ラウレルの女。このままではラウレルが王を殺してしまうぞ」
男の声は、妙に落ち着きがあった。
いや、それよりも。
ラウレルが王を殺す。そんなまさか、そこまで……
「ラウレルが人殺しになってしまうぞ。娘、そのような場所でじっとしていてよいのか」
「どういうことですか! ラウレル様は一体どこに……」
「王は塔へ逃げた。ラウレルはそれを追っているはず」
ビオレッタは、屋根に空いた穴から空を見上げた。
空には飛び交う竜と立ちのぼる煙が見える。その先に、王が逃げたと思われる塔を見つけた。
しかしずいぶんと遠く、そして高い。
「あんな場所、どうやって――」
「さあ乗れ、女」
銀髪の男は目の前で白く発光したと思うと、みるみるうちに銀色の竜へと変身した。
その瞳は、透き通った金色。
「あなたは……プルガだったのね……」
乗れと促すように、プルガは大きく咆哮した。
竜に一人で乗るなど、自分に出来るだろうか。でも今は乗るしかない。
ビオレッタは震えつつプルガの背中に跨がると、プルガは彼女を振り落とさぬよう、慎重に羽ばたいた。
(気を遣ってくれているのね……)
「ありがとう、プルガ」
返事をするような鳴き声が、瓦礫だらけの玄関ホールに響く。
プルガはゆっくりと上昇し、抜け落ちた屋根から塔へと飛び立った。