【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~
映画見たのも、ケーキ食べたのも、ジュース飲んだのも、尾瀬君傷つけたのも。
私の誕生日も、まだ今日なんだ。
「月ちゃん」
「……こんばんは……」
吸血鬼は制服を着ていなかった。
「月ちゃん、大丈夫?」
「……どうして……」
「落ち込んだ顔してる。そうそう、肉まん始まったんだよ~食べるかい?」
夏の間はやってなかった肉まんが、寒くなってから復活したんだ……。
「……はい、買います」
ぼけーっと言った。
「誕生日なんだってね」
「えっ」
「夕方、お父さんが買い物に来てたよ。娘が誕生日だったけど、息子がお腹こわしてって」
お、お父さんまで吸血鬼と話をしてるのーー!?
「太陽君大丈夫?」
「は、はい……」
「僕、今上がりなんだ。また女の子一人で夜に歩いてたら危ないよ。送ろうか」
吸血鬼は、いつも変なシフト。
きっと、予定があるみんなに合わせてあげてるんだと思う。
春夏秋冬、ずっと働いて……。
私はまた、恋心が疼く。