【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

「……はい……」

「そのなかで、せっかく仲良くなれたなら……ちょっと勇気出してもいいかもね。今なんかスマホ~で連絡も取れちゃうしね~」

「そうですよね」

「でも、怖い気持ちもわかるよ。だって、心って見えないもんね」

 冷たい秋の風が、私達の髪を揺らす。

「……そう、また傷つけちゃうかもしれないし、そもそも、もう嫌われてしまったかもしれないし、自分が好かれてるとかもわからないし……」

「うん……なんか、おじさん吸血鬼からのアドバイスなんて役に立たない感じだよね。えっと……でも人間の女性の桜さんから言われた言葉があるんだ」

 桜さん……。
 桜さんは、やっぱりいたんだ。

 妖精じゃ、ないんですね。

「どんな言葉ですか……?」

「『想ってるだけじゃ伝わらない』ってさ」

 そうだ。
 本当にそうだ。
 尾瀬君は優しいから、きっと私のために私を避けると思う。
 私はどうしたらいいんだろう?

 でも、私は……彼と友達でいたいなと思ってる。
 それってすごく性格悪い?
 でも、それが……私の気持ち。

 残酷かな。
 私のただの願望は、彼の心を切り裂く剣かもしれない。
 でもわからない。
 まだ高校生で17歳になったばかりの私には、まだわからない。
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