【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

 『電話できる?』とメールしたら。すぐ既読になった。

 『できる』って返信がきた。

 私、メールって上手に伝えられないから。
 私は勇気を出して、尾瀬君に電話した。
 
『もしもし、こんばんは』

 耳に響く声。
 やっぱり優しい。
 
「はい……こんばんは」

『焼肉楽しかった?』

「弟がお腹痛くて、行かなかったんだ」

『そうだったんだ? あの……今日ごめんね。最後送れなくて』

「……それは、私が……」

 あぁ、私が早く謝れば良かった。
 尾瀬君は悪くないのに。

『……月ちゃん、大丈夫? なんか、泣いてる?』

「あ、なんでも……」

 確かに鼻声になっちゃってる。

『どうした? 何かあったの?』

「今日、あの……映画楽しかった」

『うん、楽しかったね』

「……あの、私……尾瀬君と友達で……あの……」

『うん』  
 
「友達で……」

『うん』

 こんな事言ってもいいのかな?
 でも言わなきゃ伝わらない。

「また……遊んだりしたい……なって」

『うん、また遊ぼう』

「……いいの?」

 尾瀬君は変わらず優しい声で言った。
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