【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

「あはは、行こうか」

「あの、邪魔してごめんなさい。一人で帰れます」

 こんな場を汚してしまったって私はすごく、申し訳なく思ったの。

「いや、帰してくれて、ありがとう」

「え……」

「ずっと、いてしまうところだったから」

 ……そうなんですか?
 でもわかった。

 彼の寂しさが切なさが、雨に溶けて――
 一緒に桜と散っているような気がした。

 私が怖かったのは、雷より吸血鬼が雨と桜と消えてしまいそうだった事……。

 私と吸血鬼は雨のなか、公園を歩き出した。

「……あの、桜……雨で残念でしたね……」

「うん、でも会えたから良かったよ」

「……会えた……」

「あ、おかしいよね。桜の花が見れただけでいいってこと」

 吸血鬼は何回も、私が彼に傘を向けると優しく私の頭上に戻される。

 私が濡れないようにってわかってるけど――私と、相合い傘はダメですか……?
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