【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~
「う~~ん。このままだと、夏休みもなさそう。地元に帰りたかったんだけどね」
「え……地元に?」
吸血鬼に地元なんかあるんだ。
私は相当失礼な事を思った。
ヨーロッパ、とか?
「うん、涼みにね。数週間とらせてもらう約束なんだ~」
「え、数週間……」
「あ、いらっしゃいませー! ごめんね、じゃあ」
「……はい……」
私はせっかく夏休みにコンビニバイトに受かったとしても吸血鬼と働けないことがわかった。
私が働けば、吸血鬼は地元へ帰ることができるけど……。
一緒にいたくて働くのに、吸血鬼と一緒にいられないなんて……。
でも吸血鬼が地元に帰るための……手助け……。
無理無理、私はそこまで自己犠牲できない。
だって……高校二年生の夏休みだよ?
人間だもん、人の役に立つってばっかり考えられない。
好きな人と一緒に楽しく働きたかっただけだもん。
それからもバイト募集のチラシはなかなか剥がれなかった。
一度外されたけど、吸血鬼が働いていた。