【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

 脳みそフル回転しろ! 自分!
 繋がる会話をするの!

「あ~~~~でも私、北海道のちびバニちゃんのご当地キーホルダーが欲しいって思ったことありますよ」

「へー? チビバニチャン? そういうのあるんだ」

「そ、そうなんですよ。こんなんどうでしょうステッカーとか、純白の恋人とかも有名ですよね!」

 や、やだぁ!
 繋がる会話って思ったけど話しすぎ!?
 私、キモいかもぉ……なんでこんな事ペラペラと……。

「そうなんだぁ、詳しいんだね? すごい。ご親戚が北海道だったりするの?」

 なんで、そんな優しく喋るんだろう。
 心がグニャンってなる。
 もっともっと声が聞きたい。

「いや、あの……好きだなって思ってて……」

 ぐ、偶然だけど大好きな漫画が北海道を舞台にしてたから……。

「そっか、好きなんだ。嬉しいよ」

 へっ……。

「自分の地元を褒められるのは嬉しいね」

 そ、そうですよね。そういうことですよね。
 ですよね。
 もう、もう!
 心臓に悪い!
 
 本当に少しの時間だった。
 吸血鬼はじゃあって微笑んで帰っていって、私が店内にいる間に事務所から女の子が店長と出てきた。
 『それじゃ明日からよろしくね』って女の子に言ってた。

 あぁ、私は馬鹿だなー……。

 そして吸血鬼は店に出なくなった。
 地元に帰ったんだよね。
< 47 / 110 >

この作品をシェア

pagetop