【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

 そして私の夏は進んでいく。
 
 つまんないよ馬鹿。

 吸血鬼とプール。
 吸血鬼と海。
 吸血鬼と夏祭り。

 そんな妄想は妄想で終わる。

 そんな時、友達から連絡があった。
 勉強しよーって、誘われて……行ってみたら男女混合グループ。

 ファミレス行ったり、カラオケ行ったり、駅前のゲーセン行ったり男女混合でわちゃわちゃ。

 なんかいつも隣にいる男の子がいた。

「ねー! 夏祭り、みんなで行こうー!」

 って話が持ち上がって、女子は浴衣を着ようって事になったの。

 吸血鬼はいないのに――。

 関係ないはずなのに、考えてしまう。

 お母さんに浴衣の話をしたら、すごく嬉しそうにしてデパートで買ってくれた。

 お母さんが着付けなんかできるんだって初めて知ったの。
 最近は面白い柄も色々あって、私はコウモリ柄にすごく惹かれたけど……。

 お母さんが可愛い柄にしなさい! って言うから、可愛いお花の柄にした。

 浴衣道具が色々揃って、一度家で着てみたの。
 
 弟は漫画の影響で着物だ! って興奮してて、お父さんは何故か泣きそうになってて。
 家族みんなで盛り上がってたけど、私はあんまり。

 夏祭りの帰りのコンビニに……吸血鬼がいたら、盛り上がってたかもしれない。

 でも、いない。
 彼は、北海道だ。
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