【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

 お母さんが風の噂で、吸血鬼が8月はほぼ休みらしいって聞いたって。

 私はお母さんが買ってきた10本入のアイスを1本食べて、北海道が舞台の漫画を読み直してた。

 コンビニには行ってない。
 あの子が働いてるのかな。
 
 あーあの女の子……ちょっと可愛い子だったよね……高校生かな。

 私の心は、泥水の中の水草みたいにグジョグジョしてて、夏祭り当日になった。

 お母さんに着付けされて、ちょっと帯をキツくされた。
 
 気分はちょっとめんどくさい。

 集まったら女の子達、み~んなすごく可愛い浴衣姿で笑顔だった。
 制服と、全然違うし『可愛い~』って言い合ってキャッキャ盛り上がる。
 此処で一人で洋服だったら、やっぱり辛かったかなってお母さんに感謝。

 ふと、気付いたら男女の人数が四人と四人。

 カップルは一組いるから、そこはわかるんだけど……。

「これ食べる?」
「あれ欲しい!」

 キャッキャ、キャッキャとグループ行動なのに、グループじゃない。
 ……もうペアが出来上がってる……?
 
「綿菓子、食べる?」

 そして、私の隣にも……一人の男子。

 ……いつもいる人だ……。
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