【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

「浴衣……着てみたんですけど、どうですか?」

 思い切って聞いちゃった。
 自分で聞いてて、頬が赤くなる。

 黒野さんは、一瞬ポカーンとした顔をして、今度は慌てだす。

「そうだ! そうだよね! 浴衣だね!」
 
 気付いてなかった……?

「引きこもる前はね、まだ着物着てる人もいっぱいいて、駅からチラホラ浴衣の人を見て懐かしいなって思ってた」

 それだけ……?
 不貞腐れちゃいそう。

「あ、えっと……とてもよく似合ってて素敵です」

 私のジト目に気付いたのかな?
 やだぁ。言わせちゃったみたい。

「……ありがとうございます……」

 でも、嬉しい。
 すごく、すごく、すごく。
 何度も思うけど、私今日死んじゃわないよね?
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