【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

 一気にきた。
 私の夏が、一気に今日、この瞬間に……きた!

 熱いよ! 夏!

「……桜さんも、浴衣が似合ってたなぁ……」

 ボソッと黒野さんが呟いた。
 多分、本当に無意識の言葉。

 人生、幸せだけじゃ終わらない。

 私を褒めて、他の女の人の名前を出す?

 酷いよ吸血鬼。

「これからコンビニじゃなくて、夏祭りに行くんだった?」

 あ、本当に無意識だったっぽい。
 風に吹かれる彼は、いい顔をしている。
 
「いえ、コンビニに行って帰ります」

 私の夏祭りは、今この場で絶賛開催中。

 ……過去系だったし、きっと昔の知り合いかなんかだよ。
 私も考えないようにしよう。
 気にしちゃったら、今のお祭り気分がなくなっちゃう。
 
< 62 / 111 >

この作品をシェア

pagetop