【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~
「いや、なんでもない。お茶もらっちゃったね」
「うん」
今日もボーナスステージだったぁ!
私は、大事にお茶をバッグに仕舞う。
「飲まないんだ」
「うん……あんまり喉乾いてない……」
嘘。本当は口のなか、もっさり。
でも、キーホルダーはもちろん、純白の恋人の箱だって大事にとってあるんだもん。
こんなの絶対、飲めないもん!
「好きなんだね」
「ん?」
「えーっと……焼き芋」
「焼き芋ね~! うん、まだまだ今年もいっぱい食べたいね! じゃあ、私はもう帰るね!」
「あっ……そしたら、また待ち合わせとかメールするから!」
「う、うん! あの、みんなには秘密にしてくれる? ほら高校生ってさ、二人で出かけるってだけでキャーキャーうるさいでしょ?」
「あーうん。わかる。大丈夫、俺は口固いよ」
「尾瀬君、ありがとう。尾瀬君って、いい人だね」
「えっ……あ、いや」
「じゃあ! バイバイ!」
「うん、また明日……!」
私は尾瀬君に、手を振った。
高校に入って、もちろん仲良しの女の子はいるんだけど……親友っていなくて。
尾瀬君と私は案外いい仲良しになれるかもしれない。