【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

「欲しいの?」

「う~~ん。あーでも実物を見られただけでいいんだぁ」

「そうなんだ。そんなにすごく欲しくはないの?」

「そりゃあ吸血鬼だから、すごく欲しいけど」

 そう、この吸血鬼。アニメ絵だけど吸血鬼に似てる。
 黒い髪で、背が高くて、牙があって……黒い服着てるし。
 
「吸血鬼だから、か」

「だって主役だし!」

「そうだね」

 ヒロインの女の子バージョンを、買ってく人も数人いたけど、それには興味ない。 

「尾瀬君は何か買うの?」

「俺はパンフレットかなー。ジュースとポップコーン買う」

「あ、いいね! 私も買おう」

「ジュースなに好き?」

「ポップコーンにはコーラでしょ」

「うん、俺もそう思う」

 尾瀬君は、私がまだグッズをウロウロ見ているうちにジュースとポップコーンを買ってきてくれた。

「尾瀬君、お母さんみたい」

 苦笑いさせちゃった尾瀬君と、映画を見た。
 吸血鬼と人間の女の子の恋の結末は……ハッピーエンドだった!
 途中の波乱でメリーバッドエンドかな? と予想してたから、私は感動して泣きまくっちゃった。

 でもそんな事もあろうかと、今日のメイクはほぼすっぴんだから平気なんだ。
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