【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

「俺、奢るからさ、好きなもの頼みなよ」

「え? そんな事できないよ」

「俺から誘ったし、結局チケット代も払わせちゃったし」

「当たり前だよ~そんなの」

 尾瀬君、びっくりする事言うなぁ。
 
「そう? 男同士だと気にせず『まじでー? あざっす! ゴチになりまーす!』で終わるけどな」

「私、バイトしていないからお返しとかできないし」

「お返しなんか、いらないよ。だって今日は誕生日だし、いいじゃん」

 尾瀬君は優しく、爽やかに笑う。
 同じ歳なのに、なんか年上みたい。

「でも、尾瀬君の誕生日だってあるでしょ。何月?」

「2月」

「へー2月なんだね! うーーん。その時にお返ししようと思ってもさぁ……」

 あ、でも2月ならチョコ作るなぁ。
 バレンタイン!!

「おめでとうって言ってくれるだけでいいよ。俺、このケーキとアイスとフルーツのやつ食べたいから一緒に頼もう」

「あ、それ美味しいよね! ねぇねぇ2月ならチョコでお返しできるかも!!」
 
「えっ」

「バレンタインには毎年、チョコのお菓子いっぱい作るんだ。学校でも友達にあげるの。尾瀬君には誕生日用にして、渡すね!」

 私のチョコブラウニーや、マフィンは評判がいいんだ。
 来年は……吸血鬼にも渡したい。
 もう渡してもおかしくないよね?
 でも……それまで店員とお客さんのまんま……なのかなぁ。
 
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