【完結】私とコンビニ吸血鬼~春夏秋冬、ピュアな初恋片想い~

 自分だってこんなに吸血鬼を好きなのに、こんな想いは消せないのに、どうして彼の想いは、夏の夢みたいなものだなんて思ってしまったんだろう。

 ……彼は、忘れてなんか、なかったんだ……。

 家に帰ると、弟の太陽がお腹が痛いってシクシク泣いて焼肉は延期になった。
 太陽はごめんねって言ったけど、私も今日は焼肉は食べたくなかったからいいんだよって言った。

 お腹空かない、胃が痛い。

 私はベッドから起き上がれない。
 
 あんなに優しい人を傷つけて、自分が極悪人に思える。
 いや、極悪人だ。
 正真正銘の極悪人だよ。

 尾瀬君からメールがきて、私は既読にならないようにメールを覗いた。

『今日は送るって言っておいて途中で帰っちゃってごめん!せっかくの誕生日だったのに。でも今日は楽しかったよ。ありがとう。焼肉楽しんで』
 
 ごめんね、ごめんね、尾瀬君。
 こんな私なんかの誕生日を祝ってくれたのに、傷つけて。
 なんで、こんなバカを好きでいてくれるんだろう。

 お父さんが気を遣って、フライドチキンやピザでも買ってこようかと言ってきたけど太陽は食べられないから今日はいいよ、と断った。
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