キスから始まる音がする。

　ポツンと残された私と蓮樹。
　蓮樹は頭を抱えてまだしゃがみ込んでいる。

　そんな蓮樹に視線を合わせて私もしゃがんだ。


「……柳楽にすげえ悪いことした」


　あ、何だかいつもの蓮樹だ。


「大丈夫、柳楽くん優しいから」

「……」

「どうしたの？」

「……そうやって柳楽のこと褒めんのは妬けるなって」


　真っ赤になりながら拗ねたみたいな表情をする蓮樹が、すごくかわいい。


「てかごめん、ほんと俺何やってんだ……」

「私って蓮樹のものなの？」

「……」

「違うの？」

「なってくれたら、嬉しいんだけど……」


　両手を合わせて口元に当てて、恥ずかしそうにしながら視線は真っ直ぐ私を見つめる蓮樹。

　照れ屋だけど真っ直ぐなところは昔からずっと変わらない。
　私はそんな蓮樹のことがずっと大好きだった。


「うん、なる」


　嬉しくてほっこりして、自然と笑顔が溢れていた。