キスから始まる音がする。
side.Hasuki
「やっちまった……」
俺は自分の部屋に戻るなり、頭からベッドに倒れ込んでいた。
「あ〜〜〜〜〜あんなことするつもりじゃなかったのに……」
だって、みらいがあまりにも意識しないから!
それどころかニコニコ笑って他の男の話なんてするし。
俺は学校でみらいに話しかけたくても話しかけられないのに。
つまらない嫉妬でイライラしてしまうくらい、俺は小さい男だ。クラスの奴らは「お前はいい奴だ」と言ってくれるけど、みんな俺を買い被ってる。
いい奴なんかじゃない、ただ好きな子に振り向いてもらいたくて必死なダッセェ男なんだよ。
みらいとキスしたのは二度目だった。
と言っても一度目は幼稚園の頃の事故みたいなキスで、あれをカウントしていいのかすらわからない。