キスから始まる音がする。


 みらいはもう忘れてるかもしれないけど、俺は今でも覚えてる。
 あれが恋の始まりだったわけじゃないけど、ファーストキスの思い出であることに違いはない。


「……なんて思ってんのがダセェんだよなぁ」


 ベッドの上に大の字になり、天井を見上げた。
 明日からどんな顔をすれば良いんだろう。


「――いや、あんなこと言って後に退けるか!」


 みらいとは物心ついた頃から一緒だった。
 気づいた時にはもう好きだった。

 大人しくて目立つ方じゃないけど、どこにいてもみらいを目で追ってしまう。
 マイペースで天然で笑うとかわいくて。

 友達に「この子かわいくない?」とアイドルの写真を見せられてもわからない。
 みらいの方が百倍かわいい。

 誰もみらいのかわいさに気づかないで欲しい。
 そんなことを本気で考えてしまうくらい、馬鹿な男なんだ。


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