キスから始まる音がする。
* * *
「…………」
「おーい蓮樹、なんか今日元気なくね?」
「え、そうか……?」
「どったの木宮。ウチが慰めてあげよっか?」
「いやなんでもねぇよ……」
今朝意を決してみらいを迎えに行ったら、日直なので先に行ったと言われてしまった。
それから登校してみらいと一度も話せていない。
真面目なみらいは日直の仕事をこなすのに一生懸命で、いつも以上に話しかけるタイミングがない。
そもそも学校ではほとんど絡みがないのに余計話しかけられない。
別にみらいと幼馴染であることを隠してるわけじゃないけど、面倒な奴らに揶揄われることもあったしお互いグループがあるし何となく絡みがないだけだ。
本当なら「みらいは俺のだ」って声を大にして言いたい。……付き合ってないけど。
つーかみらい、普通すぎねぇ?
何にもなかったみたいに普通じゃん。
ちょっとは意識してくれたりって思ったけど、全く脈なしってこと?
俺は恋愛対象にならないのかな……。
くそ、自分で言っててすごいダメージだ……。
結局一言も話せず、目すら合わないまま放課後になってしまった。
もうなりふり構ってられない、とにかく話しかけよう。
「……み、」
「待雪さん」
「柳楽くん、どうしたの?」