両手から溢れる愛を

「友達にしか見れないって! どゆこと!? 友達にしか見れないんならなんであんな思わせぶりなことしたの!? ダメじゃん! ダメでしょ!?」


テレビを前に声デカデカと「はぁ!?」と叫んで怒られた昨日の夜。


でも叫びたくもなるでしょ!


でしょ!?と賛同を得るために開けた瞳に映ったのは、まるでどうでもよさそうにスマホをいじってるみっちゃんの姿。


「え、聞いてた?」
「うん、聞いてたよー」


さっきまでのわくわくした顔は何処へやら。

親友は興味が湧くのも速ければ、失うのも随分と速いらしい。


「あ、もしかしてドラマ見てない?」
「見たよ」
「だよね」

スマホから顔を上げたみっちゃんに、感想は?と聞けば、うーんとひとつ考えた後、特に盛り上がることなく淡々と答えてくれた。


「まぁ、まだ一話目だし」
「一話からあんなだから言ってるんじゃんー!」


全く違う熱量に思わず机に伏せれば、あっはっはと笑われる。


「いやー相変わらず凪はドラマに対する熱がすごいね」
「……遠回しにバカにしてる?」

むくりと体を起こせば、今度はみっちゃんのスマホが机に伏せられる。


「まっさか〜。凪がそうやっていつも熱く語ってくれるからドラマ見るようになったんだし」

……これ褒められてるのか?

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