先生、それは✗✗です…!
そう言おうとしたのだけれど――。


…あれ?

なんだか…、体が…おかしい。


目の前にいる鳥羽さんの姿がぐにゃりと曲がって…。

足もおぼつかなくなってきて……。


まるで、…自分の体が自分じゃないみたい。


「…おい!大丈夫か…!?」

「は…はいっ、大丈夫でしゅ…」


“でしゅ”…?


…どうして?

舌もうまく回らない。


「…おい!おい!」

「あのっ…、本当に大丈夫でしゅから――」


そこでわたしは意識を失った。



* * *



ふんわりと香る柔軟剤の香り。

心地いい布団の感触。

カーテンの隙間から差し込む暖かい陽の光。


それらの気持ちよさを感じながら、わたしはゆっくりと目を覚ました。


「ふぁ〜…」


大あくびをしながら、わたしは布団の中で伸びをする。
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