先生、それは✗✗です…!
次に戻ってきたときには、その手にはわたしの昨日の服が握られていた。


「乾燥機が終わったところだ。シミなくきれいに洗えたぞ」


まだ温かい乾燥されたばかりの服を、わたしは荒々しく奪い取る。

わたしがこんなにドギマギしているというのに、鳥羽さんがいたって冷静なのが非常に(しゃく)だ。


「言っておくけど、キスしてきたのはそっちからだからな?」

「…な、なに言って。どうしてわたしがそんなこと――」

「知らねぇよ。俺は逆に襲われた側。被害者は俺のほうっ」


『ファーストキスは好きな人と』

と思ってずっと大切に取っておいたのに、そんなわたしが会ったばかりの鳥羽さんにキスするはずがない…!


わたしは横目でトイレらしきドアを見つけると、服を抱えてその中へ入った。

思ったとおりそこはトイレで、急いで今受け取った服に着替える。
< 32 / 89 >

この作品をシェア

pagetop