腹黒王子様の溺愛が規格外。
挨拶【side 蓮】
桜を抱き上げて自分の膝に座らせる。

僕の手に肩を置いて、上目遣いをしてくる桜はいつでもずるい。


「……ねぇ、帰ろう?」

「挨拶しに行こうって言ったのは蓮くんでしょ?」

「そうだけど……こんな可愛い姿見たら、執事とかに惚れられちゃうよ……」

「あはは、そんなに若い人いないでしょ……?」

「そんなこともないんだよ、バイトとかで全然高校生もいる」

「えっ、そうなんだ」


時給高そうだなぁ〜なんて考えているのだろうか、桜は苦笑いをしていた。

綺麗な白い首筋に顔を埋めた。

いつもとちがう匂い……多分香水だな。


桜は自然体でいい匂いなのに……やっぱり、権力目当てに近づいてきた女を思い出して少し嫌になる。

それでも桜が愛おしくてたまらないのは、きっと運命の相手とやらなのだろう。


「いーい、絶対僕から離れないこと、男のことは3秒以上見ない、あんまり緊張しなくていい。わかった?」

「うん!じゃあずっと手繋いでる?そしたら離れられないよ」

「っ……うん」


そんなスマートによく言えるな、僕なんか毎回心臓バクバクなのに。

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