腹黒王子様の溺愛が規格外。
「蓮から色々な話は聞いてるわ、大変なこといっぱいあったそうね……」

「は、はい……」

「でもちゃんと乗り越えられたならよかったわ!あっ、そうそう伝えておかなきゃいけないことがあるんだけど……」

「はい……!?」


桜は色々なリアクションをして可愛いな……この家にはさすがにカメラは仕掛けられてないから撮れないけど……写真撮る許可はもらってるし、こっそり撮ろう。


真剣に桜と母親が喋っている中、同時にスマホを取り出して同じような体制で盗撮している父さんと目が合った。


「「……」」


互いに無言な中、さっとスマホをポケットに入れ勢も戻した。


「一条家のお嫁に入るからって焦る必要は本当にないからね!私は元々貧乏な中お父さんに見つけてもらってこうなったし……」

「え!そうだったんですね」

「そうよ、私は容量悪いし不器用だったけど……この人がいつもどうにかしてくれたから安心できたの」


父さんの腕にぎゅっと抱きついた母さん。

無表情ながらに絶対喜んでいるであろう父親を見て、とても複雑な気持ちに置かれていた。


「きっと困ったことがあれば蓮がどうにかしてくれるし、心配はいらないわ」

「わかりました……!でも、私も蓮くんが困った時には支えられるようなお義母さんのような立派な人になります!」

「あらあらまあまあ桜ちゃんったら……!そうね、これから恋バナしましょう!久しぶりにきゃぴきゃぴしちゃうわよ〜!」

「は、はい!」


母さんが桜を連れてどこかへ行ってしまった。おそらく庭に出てお茶でもしてくるのだろう。


「……父さん」

「ん?なんだ」

「ご機嫌だな」

「ああ、母さんが抱きついてきてくれたからな」

「……本当、桜の前でやめてくれよ……」

「ははっ、デジャヴだな、俺も全く同じ光景を見たわ」


苦笑いする父さん。仕事で時間は少なくとも、たっぷり愛情を注いでくれた。


一応、感謝ぐらいは限りにしておくか。


「ありがとう、父さん」

「……なんだ急に気持ち悪い……」

「んだよそういうこと言うな」

「ははっ、でもまあ母さんの遺伝子が入ってるお前がそんなことを言ってるんだから可愛いもんだよなぁ。本当、娘が産まれていたらどうなっていたことやら」



本当に……この親父なら母さんモロども監禁しかねない。

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