腹黒王子様の溺愛が規格外。
「ね、ねぇあれ一条財閥の一条様じゃない?」

「じゃあ横にいるのは婚約者様の桜様!?顔ちっちゃ、可愛すぎでしょ!」

「本当だな、桜様まじ可愛——」


蓮くんがどこか見ている。

それも、とてつもなく黒いオーラを出しながら——


「れ、蓮くん?」

「ごめんごめん、牽制してただけだよ」

「そ、そっか?」

「どこ行く?」


うーんどこがいいかなぁ。


ジェットコースター、とか乗ったことないな。


「ジェットコースターは?」

「いいよ、そうしよっか」


手を繋いでジェットコースター乗り場へ行く。結構混んでいたのに、なぜか乗るまでの時間は5分となっていた。


自然と人が減って行ったようだ。


蓮くんとこの間もらって読んだ本のことをおしゃべりしながら、待ち時間を潰す。


ようやく自分たちの番になって、座席に座ると……。


「桜、手繋いでていい……?」


若干声を震わせた蓮くんがそう言った。


「うん!」


震える蓮くんの手を握りしめると、いってらっしゃーい!と言う声と共にジェットコースターが走り出した。


「「「「きゃー!!」」」


下り坂でみんなが声をあげていたので、私もちょっときゃーなんて言っちゃいながら楽しんでいた。


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