腹黒王子様の溺愛が規格外。
20分ぐらい、ぼーっと湯船に浸かって熱ってきたぐらいで出る。

ふかふかのバスタオルで身体を拭く。

今まではフェイスタオルで身体拭いてたし……こうやって、身体を包み込めるのはとても落ち着く。


髪の毛をまとめて、蓮くんが用意してくれたネグリジェを着る。

昨日とは色違いだ。


あの後結局ネグリジェに着替え直したからなぁ。

蓮くんに必死に変えてくれって頼まれて……。


今、スマホでも見てるのかな、蓮くん。


そんなことを考えていると……ドンッと誰かが転んだような音がする。


「痛っ」

「蓮くん!?」


この声は蓮くんだ。

心配になって、急いでバスタオルを身体に巻き付けてお風呂場を出る。


するとすぐそこの廊下に、蓮くんがいた。


「蓮くん大丈夫!?」

「あ、うん……ちょっとアルバム運んでたら足打って転んじゃって……」

「そうだったんだ……!!」

「ねぇ桜、その格好……やばいんだけど、無理耐えられない」

「ご、ごめん見苦しいよね——」

「そうじゃない」


まるで獲物を見つけた狼のような目で、私を見つめる蓮くん。


「結婚できる歳になるまで、我慢するって決めてるから……耐えるけど、僕以外の前でそんな可愛い格好しちゃダメだよ」

「えっ?う、うん……!」


蓮くん以外の前でするわけない。私はきっともう、君以外愛せないだろうから。
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