腹黒王子様の溺愛が規格外。
「桜ちゃん……!?」


雅くんが驚いたような顔をする。

思わず、昂った感情のせいで涙を流しながら、彼に抱きついてしまった。


「ど、どうしたの……!?桜ちゃん、一条さんのお嫁さんになるんでしょ……?こんなことしてたらだめだよ」

「あっ……ご、ごめんね……その、会えて嬉しくて」


私は蓮くんに恋して気がついてしまった。

おそらく、中学生の頃、彼、雅くんに抱いてた感情は恋だったんだと。


もう、今は蓮くんが好きだけど……雅くんを見ていると、モヤモヤする。


だって、だって……!私が好きだった時に、彼は何も言わずに姿を消してしまったのだから。


「一条さんに見られたら危ないよ、僕はもう行くね」

「あっ……うん……」


行ってしまった雅くん。

人だかりのせいで、そこまで目立ちはしなかったけど……。

名残惜しさで、どうにかなってしまいそうだった。


蓮くんが来るのを待とうかな、と思ったけれどそれもやめて大人しく1人で教室に戻って行ったのだった。


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