平凡な偽聖女ですが王太子様と結婚することになりました!



 悩む日々が続いたある日、舞踏会へのお誘いが来ました。

 私は欠席しようとしました。
 噂のせいで、私は外出を避けるようになりました。下手に外に出ると、聖女さま、と囲まれます。舞踏会でも囲まれるのは嫌です。

 しかし、両親は勝手に出席の返事をしてしまいました。親同士のつきあいもありますし、何より私の気分転換をさせたかったようです。

 私はしぶしぶ出席いたしました。



 久しぶりの舞踏会は華やかで、私は思いがけずときめきました。
 貴族同士であるせいか、聖女さま、と囲まれることもありませんでした。

 ホッとして、友人との会話を楽しみました。
 友達はふと真顔になり、私にききました。

「あなたは本当に聖女ではないのですか?」
「違いますわ。噂については本当に困っておりますの」

 ため息をついて伏し目がちに困っているアピールをします。こうして印象を作っておかなくてはなりません。偽聖女として検挙されたくありませんから。

「ほんっと、犯人見つけたらギッタギタにしてやる」
「ビ、ビオレッタ、口調が……」

「あら嫌ですわ、私としたことが」
 ほほほ、と笑ってごまかしましたが、友人の顔がひきつっています。

 なぜ私がこんな苦労をしなくてはならないのでしょうか。
 誰が原因なのでしょうか。
 本当に何かの力があるなら、真っ先にそいつを……。

 そんなことを思っているときでした。
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop